イトウ回帰Vol.2

イトウと岩魚2足のわらじ

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イトウ5年越しの回帰06    イトウ回帰Vol.2−1

夫婦イトウ

クマゲラの森

イトウが遡る川には砂防ダムが無い。水質なんぞは5の次とでも言わんばかりに多少汚くったってへっちゃらさ。でも、相変わらず様々な種が絶滅危惧なんぞやらに指定され、世間で一時は注目されるも、物分りの良い子ちゃんがされるがままに高額な税金を払いつづける私達と一緒、いつの時代になっても指定種を育む周辺の環境は何も変わらない。

川底を掻き毟る勢いで吐き出される雪代水を、デカく肥えた頭でまともに受けて水源を目指すペアのイトウが今年もまたやって来た。流れの緩む淵で足踏みし、雌の息使いを窺いつつ雄が見守るように寄り添い源流を目指す。濁ってさえいなければそんな光景を見ることができるも、今年は増水と濁りが激しく、いつも確認できる通過点でいくら待てどもその姿を現さない。

2006年の春。産卵期間中の平均気温は2〜7℃と低くいにして水温は3〜5℃と平年並み。左の画像は熊越えの沢、水源へ向かう通過点。残雪は多いが産卵域の水位や流速には変動は無く、つねに安定している。

1995年では、この状態で堀が作られた。しかし、今年は厳しかった。

例年歩く林道上には厚く降り積もった残雪が30〜1m。長いところでいつもの10倍はある距離を進むことになる。カンジキを履き、カメラ機材をザックに押し込め食料に飲料水。水中眼鏡に・・・寒空の下で地形図を眺めるも、目的地までは遠い。せめて雪の上を歩けるだけ有り難いが、問題のイトウに逢えなければ、その疲れは倍以上になってしまう。

ここで最初に姿を見せてくれたのは幸運の鳥、クマゲラだった。昨年と同じ獣道を歩くと、頭上からピュイ〜〜と現れ、数十メートル離れた大木の幹へとまり、次いで高らかに口ばしを打ちつける。

全道各地の山や森を行くが、クマゲラを一番見るのはこの地域が多い。これも偶然にしてか、上流から水源を取り囲む原野の森が、かろうじて残されているのはここと他、近隣の支流とを含めると奇跡的な面積でしかない。それでも、蛇行が織成す平らな河畔は、他と比べれば随分と広く感じる。

そこには、あのエゾクロテンも居て、イイズナも見られウサギにフクロウ、勿論、羆の巣穴さえもあるほど豊かな森。後はエゾオオカミが居れば完璧だ?

沢から流れ落ちる雪代水が湿原へと溜り、所々の深い溜まりにはエゾアカガエルが集い、新鮮な流れ込みではサンショウウオが見れるはずだが、ここでもその姿は無かった。その変わり水芭蕉とエゾノリュウキンカは早くに花咲いている。

地元での話しによると、福寿草はかつては見られたらしいが今は無い。そう言えば、この近隣支庁でも見たことが無い。もし、根こそぎ盗られたのなら悲しいな。いつか探し当ててみたい。

夫婦イトウ

場所を一転した澄良しの川。今回、対象とした水系、何処を行けどもイトウが来ておらず本当に参った。地元で長く暮らす方でさえ、こんな春は初めてと溢すほどその幕開けは異常だった。

そして、イトウを求めて方々各地、透明度の高い澄良しの川。冬将軍が居座る聖地から離れたとある場所、荒れ狂う本流へと幾本もの支流が注ぐ一本。5年越しの回帰河川と並び、例年、順調ではない所に今年はどうやら来ていた。

繁殖期間中、進入経路をゲートなどにより制限するのも良いにしても、注目の薄い地域での伐採、伐根、林業に携わる関係者のモラルは史上最低の悪さと言わざる終えない。

まず第一に、林道脇に目立って散乱しているのはタバコの吸殻をまとめてポイ!コンビニの弁当箱、パンの袋に空き缶。

場所にもよりけり、冬期間、ゲートを開けている所もあるが周年閉め切っている場所もある。その目的や意図は解らぬにして、まあ、やりたい放題。

通常、カメラを持ってイトウのペアに近寄ると、相手は夢中になっている為、そう神経質なものではないのに、ここでは人影が川面に映るだけで根下に隠れてしまう?右の画像は澄良しの川、そのまた支流の魚止めの滝。じっと見ていると、次から次へと下から上ってくる。一日で多い時は、このポイントだけで20匹も確認できるほどで、早く去る雄の個体ではたったの30秒。長く居座るものでは一週間。ペアを組んで来るもの、特におよそ12歳を超えるものは、産卵域に達した段階から24時間以内で事を終わらせ去ってしまう。

やはり、産卵域となる水源に林道が付くことにより、容易に、あらゆる目的を持つ人々を寄せ付けることになる。そうなると、どんな規制をしても無駄となる。そこだけは「道は無いのに限る」

イトウ5年越しの回帰06     イトウ回帰Vol.2−1

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