イトウ回帰Vol.2−1

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標準型イトウの素顔

その命、その場所とそこを知る者、決して親兄弟であろうとも教えるべからず!金儲けに走り身売りすれば我が身を滅ぼす。このイトウを知りたければ、そのぐらいの覚悟をすべし。

縁と絆、運命を感じる一瞬。どうしても、水界でカメラを持つと透明度に拘ってくる。でも、幾ら水が澄んでいるからとは言え、ダム湖産のイトウを写す気は今のところ考えられない。海域産個体群とその支流、細流産個体群がそこへと回帰してきた命の重み、自然との調和で生かされている野生の証しは海から森への回帰が全てです。

産卵期間中の前半、一度も水に浸からずカメラも持たず、ただただ濁りを待ちつづけ、車での移動を繰返し5年越しの回帰河川で感動の再会を果たし、次へと場を移した澄良しの川。行ったり来たりと車を止め、ふと何気なしに身支度し歩き出し、せせらぐ流れの傍らで寝転び缶コーヒーをグイグイとやる。すると、あの音が側で聞こえてきた。

ゴボゴボゴボ〜・・・。岸際に茂る笹の隙間から川面を覗くとペアを組むイトウの姿があり、ゆっくりと雌が堀を起こし、その下流では2匹の雄が定位しチャンスを狙っている。

ペアを組むイトウ

濁りはまあまあ。水深は極めて浅く周辺には既に幾つもの堀が作られている。気が付くと堀とは反対側の川岸でカメラを構えていた。雄の婚姻色は薄く濁ったオレンジ色で、雌はより輝く銀色。そして間もなくすると、上から別の雌が勢い良く降っては再び上へと遡るそんな光景がしばらく続く。そこ一帯の上下流では3組のペアと単独の雄が日が暮れるまで激しく命燃やす。

ついつい口ずさむ。水芭蕉〜の花が・咲いている・そう言えば、ここらの花は高山帯と比べると一回り小さい。その周りには葉ワサビもあり、エゾノリュウキンカも花咲く。

このワサビは、最終日に聖地は今年もお世話になった敬一さん宅で栽培するものを写した一枚。ある水源までの閉鎖された道をテクテクとザックを背負い歩いていると、どうやって来たのか?エンジンを唸らせ迫るフル装備の4WDがやって来た。

まさかまた会えるとは思わなかった。ちょうど全工程の6割ほどに達していた地点でのこと、その後を考えると体力的には厳しく、停車すると同時に目を合わせ、早々助手席に乗り込み1年振りの再会に言葉を交わす。実は、私が車を止めていた場所で、それより3日前に敬一さんの車を見かけていた。その時は姿は見えず、しばらく周辺を探すも見つけることが出来ずその場を去っていた。そんな事を話しながら、また今年も、いろいろとお世話になった。本当にありがとうございました。ご家族の方にも大変お世話になりましたm(_ _)m

このアイヌネギも敬一さん宅で栽培されているもの。とは言え、これを商売にしているわけではない。野にあるこれを少々畑に持ち込み増やしてはみたそうだが、あの強烈な香りは出ないそうです。旬のものは、その時期と場所だけに限るんでしょうね。

雌イトウ

堀を起こす度、流れに乗って上下する雌のイトウ。今回で何度目の回帰になるんだろう。じゃまにならぬよう、静かに側へと近寄りストロボを発光する。やはり、この流域に限っては、なかなか難しいなあ・・・

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