地表を潤おす地肌に
ニホンザリガニ |
輝ける日
ニホンザリガニの棲む地肌。
場所は他へと移ります。ここは北海道のとある大地、源流の岩魚旅をする目的で来た谷での出来事です。
1泊2日の予定で岩魚を釣るのが目的だったが、前日から降りつづく雨が止まず、現場を目前にして入山が不可能となった。自分としては無理をしてでも決行したい気分であったが、諦める勇気も大事だと中橋さんになだめられ、何気なく止まった林道脇で、ビールにチュウハイ、イカの珍味を前にしてどんちゃん騒ぎを始める・・・勿論、明日の朝まで車は動かさない、車中泊をしました。
中橋さんが言うに「名も無い沢の生き物達」チュウハイ500mlの缶を2缶開けた私は、ようを足しに車を降り側の草むらにジョロジョロと垂れ流すと、木々の隙間からヒューム管の捌け口が目に入った。
あれ?沢などありそうも無い所にヒューム管?ズボンを上げて後ろを向いた途端に思い出した。そうだ、水があるんだ!となればニホンザリガニが居るかもしれないと、鬱蒼と茂る草木をかきわけ、ヒューム管が顔を出す上へと進むと、地肌の所々の隙間、草の根がある間から水が見えた。
何処が沢なのか湧いている所なのか範囲を特定することは出来ないが、草の根が石を掴み、その下には水脈があるようだ。その草を抜き取り、次いで小石を取り除くと、砂礫の中からスポンッ!とニホンザリガニが飛び出てきた!居た〜と大声を発し、中橋さんの所へと急いで向かう・・・
地表下に流れる水脈を覆う草木と石をめくる30センチ四方の面積から10匹のニホンザリガニが出てきた。表面積こそ狭い範囲でも、真下に掘れば掘るほど次から次へと顔を出す。これは凄い!この生物は、特別、大袈裟な空間が無くとも生きていけるものなのか?大袈裟かどうかというより、人間が何気なく、悪気無しに刃を入れる大地にも、それが生きていくに厳選された条件があるようですね。
札幌の市街地、民家の庭先に湧き出る限られた範囲で生息する都会のニホンザリガニ、局地で見られるものとを比べると、その地によって色や形が微妙に異なるようですね!30センチ四方を潤おす生息地で見られたものは、全体的に細身であった。そして、時期がちょうど脱皮期であったようで、見られたものの殆どがふやけていた。
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大地を潤おすニホンザリガニが営む全景はこんな感じです。沢というよりは草むら”この下には、それが育むに厳選された水脈がある。
イトウと岩魚2足のわらじ 更新履歴 北海道のイトウと岩魚 プロフィール 書籍文献紹介 人物紹介 意見感想 両生類その他 |