ニホンザリガニ

狭く地味な空間

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褐色の日

時は一転して昨年03年、褐色の日に訪れた地。フクドジョウかな?夕日が綺麗な村で軽食店を経営するマスターに教えられ、ニホンザリガニを探すこと現れたのが2匹のドジョウ。ニホンザリガニの姿は無かった・・・

これも何とも不思議な出会いであった。道内各地を方々歩き回る私にとって、見知らぬ町や村に行き、地元の方と話ができるのは貴重だ。別に相手の人相、顔色を窺って声をかけるわけではないが、時には「とぼけて」聞くこともある。何を?

スジエビ。

褐色に濁る川面を見つめるだけでは何も見えない。それが水面下へと潜りこむと、何やら半透明なエビが無数に泳ぎまわっているのが見える。なるほど?イトウはこれを食べているのか?人間が食べても美味しいかもしれないなあ?

2004年、探索紀行の幕開け

お仕事?それとも観光?と、その宿のおかみさんが擦り寄るようにして聞いてくる。

仕事でも観光でもありませんよ!まあ、そうですねえ、実は仕事をさぼってここまで来ました・・・別になんてことはありませんが、来なければならない理由があって、ここまでやって来たもので・・・それもそうと、私にとってみれば、ここは第二の古里のような所なもんです。来たいと思い立つと何がなんだろうとやって来ますよ!

お仕事をサボってきたの?それはそれは貴方がたは幸せよ^0、ここの宿にはねえ、生きる希望を失い、自分と向き合う為にやって来た人、失業、失恋などなどといった心に傷を負った方々が辿り着く所なの・・・と、我らが泊まる別館の玄関先で、小さな声で話し始める。仕事をサボって来たのは私だけですが・・・

仕事で全道各地の宿を泊まり歩いてきた私にとっても、60歳を過ぎているであろう、おかみさんの心使い、客の心情を探り読もうとする仕草には、この宿がどういう所なのか恐れ入った・・・

いや〜確かにそれはそうだ・・・、自分が一番不幸だと思っていましたが、一刻を争う時間と向き合う方達からすれば、自分の人生などは大したことはありませんよ・・・と、そんな心の問題を抱えたお客さんたちが泊まっているのに、まさか「ニホンザリガニ」を見に来ました!なんて言えないしなあ・・・

友人が8年前に行った場所へ再び。当時の状況とは一変し、近年、造られた砂防ダムにより、周辺の木々が伐採され、山肌が茶色く剥き出しになっている。それにも関わらずニホンザリガニは健在していた。

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