東の果ての秘境2008年

世界自然遺産(知床半島)

イトウと岩魚2足のわらじ

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世界自然遺産(知床)P2   

北海道を想い出させてくれる所、誰でもそこへ行けば何かしら実感できるはず、その場所を地図でよく見ると小指の先っちょ、半島の先端部、ほんの一部だけに陸路の無い原生な領域が残されているだけ、世界自然遺産(知床)は、これまで”東の果ての秘境”として公開してきましたが、これからはここに限らず明記する必要がある地名や人名については公開していきたいと考えています。ご理解ください・・・

まず友人A氏には感謝したい。一年に一度、一瞬でも良いからその場所に立ちたい・どうしても行きたい・長くて夏が一週間しか続かない晩夏の知床に。自分にとって、そんなところはここを含めて道内で4ヵ所だけ。

半島東側に毎年、夏になると羅臼から東半島部先端にやってくるユリおばあちゃんの思い入れには敵わないけど、反対側の西側、海岸部は断崖が続き徒歩での踏破は極めて困難、一般車の通行ができない知床林道経由でもチャカババイ川河口の手前で終点を迎え、実質的な知床はここから先の領域が遺産と呼ぶに相応しい核心部になる。内陸から海岸部における全域が原生で保存され、この境目、一点に命が集中する時期はカラフトマス遡上シーズン、これを求めて羆、キツネの動きが盛んになる。この一帯において今回は初めての単独行になりながら、いざパドルを漕ぎ出すと前回と同様の空間が心地よく、これまでと変わりない、やっと来れた、去年もきたはずなのに新鮮な感動を憶えるのは北海道という大地が壊され消えようとしていることにあるからだ、これから先の空間格差は余りにも大きいもので、この違いを判断できる年齢層も、これからは少なくなってくるのだろうか?そうなったときは日本も終わりか・・・・・・・・・・・・・・・・

予定は三泊四日、前日の午後6時、仕事が昼に終わり5日分の買い出しをそれから急いで用意し、カヤックを借りることになっている友人A氏宅へ寄り、そこから知床へ向かう。本当は購入するはずだったんですが、間に合わせでは後悔してしまうし、殆どのメーカーは受注生産、中古車一台ほどの価格か、それ以上はする。まずは彼のシングル艇と、その後、いつくか試乗してでも遅くはないだろう・・・

正午0時過ぎにウトロに到着、いつも仮眠しているトイレ有りの駐車場は既にスペースが埋まり、外灯から離れた片隅に車を停め、翌日に備えて軽く一杯やって就寝する。5時間後には手続き、海浜使用料など支払うため顔を出さなければならない。

上記の画像。もうここでは普通に見られる光景となった、マスの遡上シーズンでのルシャ川の海岸風景。海が凪で軽快にカムイワッカまできたとき、ルシャの谷間から勢いよく雲が沖へ向かって吹きだしているのが見えた。そして間もなく、強風に揉まれみるみるうちに沖へ飛ばされ、とにかくがむしゃらにパドルを動かし、海岸にたどり着くまでこの日、一日ぶんの体力を全てここで使い果たすほど疲れた・・・向かい風に強がってみては”かかってこい!”なんて口ずさみながらアメンボウのように波を掴むが、一漕ぎ30pほどしか進まず何度か後退させられながら、どうにか海岸に辿り着く。

海岸沿いの大きな湾をゆっくりカヤックを進めると、カラフトの背びれが無数に海面に飛び出す場面は例年と同じ、とっさに竿を出し1時間ほど釣りに没頭した。小型船に乗ってやってきている観光客は一日に何艘ここへ来てクマの写真を撮っているのか、ただ、今回あちこちで目にしたのが調査員の姿、どうやら今年はクマの行動が”おかしい”?という話を後で聞く通り、ここに限らず何処でも姿を現し上陸地点を悩ませた。

テッパンベツを過ぎカシュニの滝へ向かう途中にあるチャカババイ川の海岸。ゴロタ場への上陸はよほど海が穏やかでなければならない。腹が減ってはどうにもこうにも力が湧かないと、石の下をチョロチョロと流れる真水をどうにかエバニュー鍋で汲み取りしばしの休息。海岸に漂着するゴミはここでも目立つが陸路の無い原始の空間が残されているのは凄いことだ!