08回帰 P2

イトウと岩魚2足のわらじ

更新履歴
北海道のイトウと岩魚
北海道のイトウ
人物紹介
書籍 文献紹介
意見感想
プロフィール

イトウ08・回帰録        08回帰 P3

2日目。日本海を出発するときに見た空と夕日。普段は朝と夜しか気にしないのに、ここへ来ると夕方に気を留めてしまう。一帯には採草地が広がっていて、どこを見渡しても人の姿はない。町へ行っても年寄りばかり、ここも過疎・・・

初日の午後5時過ぎには聖地圏内を目指し当日中にベースキャンプ地に着。全体的な状況を把握するために観察し易いP5箇所を周り、翌日3日目から本格的に行動するつもりで、正午を過ぎた時点、ふと、昨年とある橋桁の直下で5日間床を掘り続けたPが何故か気にかかり、疲れた’つかれたとぶつぶつ呟きながらも最終ベースをそこに移した。

イトウ08

V・ぶい・ブイ〜っと左右に砂礫を巻上げる都度、ストロボがじゃまでじゃまで鬱陶しそうにぶつかってくる。その内じゃまだから避けてえ〜・な具合に除けようと胸元でぶつけてくる力は重たいなあ。こちらもなんとかじゃまにならないよう、少しずつ位置をずらす。

今年は延べ4日間で産卵が終了。薮漕ぎの合宿にでもきたのか自分は?なんて頭を抱えたくなるほど残念でならず、姿と床の痕跡を探し圏内殆どの水系から支流、その源流を踏んだのは、最終ベースに場を移した昨年で5日間、床が掘られたPを見ると、水量はここ3年間と比べると半分ほどの少なさで状況としてはベスト!だが、この周辺で姿も痕跡もないため、これよりさらに5`上流先の尾根付近に車を止め、そこから数百m離れた沢におりる。

今年は去年と少し違い羆の行動パターンが不規則で、目撃、痕跡が目立つところ、まったく寄っていない箇所が極端という話を今回も大変お世話になった地元は猟友支部会長を務める敬一さんより後に聞いたことから、テリトリーへ単独で進入することが怖かったし、雰囲気もいつもと違うことを感じていた。

早々、あの音が響くのが聞こえペアを見つける。雌が床を掘る動作が早く、それも焦るように盛んにやっているのは、水が極端に少ないながら、かろうじて雪代水が混じるほど、産卵するには始まりとピークが重なる状況であることは動きが物語っていた。これはまずいなあ〜明日で止めるぞ!

疲れたとか体の調子がよくないとか意識したことがなかったのも歳のせいか、一ヶ月前に風邪をこじらせたときの咳を今日まで引きずり、どうも気合が入らない。産卵の開始が正確なのは凄いが明日、明後日で終わるとなれば残り10日間は何をしようか?たった3・4日でまた一年後か?チャンスは一度か・・・また今日も日没までの3時間、Dスーツに着替え機材に・・・取り付いて間もなく陽が暮れた。

   イトウ08・回帰録           08回帰 P3