何の知らせだったのだろう、11年使い続けた熊撃退スプレーの使用期限が既に過ぎ、このまま使っていても問題は?ないか、価格もまあまあ、命と代償にするなら新たに購入するのが賢明だろう、そう思い正し、いざ念願だった東の果ての秘境へ、届出を提出して向かった。
これまでベースにしていた海岸に着いて早々テントを設営、タープも張り一段落付いた直後、背後の斜面に群生するイタドリが大きな音を発てボキボキ、バキバキと迫り来るのは何か?
勘弁してよ〜!ウキウキな気分だった2人は、静かにカヤックを停泊する側へ寄り、群生するイタドリの一面を目で追い、こっちに来るなあ〜だの・・・わ〜?だのあ〜だの?大きな声で語りかけると、葉の隙間から立ち上がる羆の顔が見えた。
ど〜する?まずは交替で監視役とカヤックまで荷物を運搬する役を分担し、幾つか荷物を運ぶと、距離にして50mほどか、のそのそとゆっくりと海岸に姿を現し、何処へ行くやら、片隅に仕掛けられる定置網へ向かい、何度かこちらを振り向きながら海中へ入り、カラフトマスを物色しだす。どうやら獲物には届かず、おまけに悪い熊でもなさそうで、その後も何度か振り返ながら海岸沿いを歩き遠ざかっていった。
お互い顔を向き合わせどうする?一応、去っていったけど、このままここに滞在して大丈夫だろうか?3日間も・・・ん〜そして間もなくして、また背後のイタドリの群落から音が聞こえてきた時は肩を落としたが、それはキツネだった。我らが来る前までは、テント場と海岸までの道として使われていたようだった、結局はここにベースを張ることになる。
フィルムはベルビア100F、色彩を拾ってくれますね!時代はデジタルだと言うのに、私が使うカメラは今もこれからもフィルム機材。しばらくぶりに覗く最果ての秘渓には、相変わらずの初心なオショロコマたちが群永する。匂い、香りに鼓動、輝きは確かに北海道に残される原生としては一級で、美しさだけでなく危険度も国内では一番高いのは確か。次回更新へつづく・・・